春一番Ⅱ
卒業式の日は不思議だ。
それまでずっと憎らしかったもの、嫌いだったヤツやそいつと言い合いをした広い教室、たぶん今でも緊張する職員室、ボロボロの体育館、その隣の半端ないオーラを放つ体育教官室、自分のクラスの教室、自分の席、あいつの席、学校の裏の海岸に続く坂道、見慣れた通学路や毎日のように足止めくらってた踏切。
そういったものが全部、ほんとに全部、キラキラして見える。
なんだか悪いものがいろんなとこから抜け出していってるみたいに、キラキラして見える。
「全てが完了した」
そういうことだ。たぶん。
式が終わって体育館から外に出ると、空はアホみたいに晴れ狂ってて、それはそれは綺麗な水色だった。
履き潰した指定のサンダルと、渡り廊下と、そこら中に落ちてる白くて小さな花びら。
胸に赤い花を挿した先生。なんかいつもとちょっとだけ違う先生。
最後のホームルームを終え、駐輪場に向かう俺。(気づけば俺は人生の半分くらいチャリンコに乗ってる。笑)
親と車で帰るヤツ、バス停に向かうヤツ、海岸に向かうヤツ、カラオケに行くのであろうギャルたち。
みんなそれぞれ動き出す。
ペダルを漕いで風をきる。神社、みんなでよく行ったラーメン屋、スーパーマーケット、ドラッグストア。イタリアンレストランの名はフラカッソ。川、トンネル、山道。街。
全部がなんだかこれで最後のように思える。
じゃあね、またねって心の中で唱える。家に着くまで何度も唱える。
あんだけ「早くこの街を飛び出したい」とか思ってたのに、いざ、別れの時が来ると全てのものに意味がありすぎてツラい。サヨナラはやっぱりツラい。
でも最高だ。またね、って思えるのは。
俺はその夜、岡村靖幸の だいすき を聴いていたよ。
そして、だいたい翌朝にはケロっとしてんだ。笑 うん。
だからこそ、卒業式の日は不思議なんだ。
そんなことを全部ひっくるめて凝縮した歌を、俺は墓場まで持って行きたい。
葬式のとき超爆音でかけてほしい。笑
そこで初めてこの曲を聴く人がきっといると思う。
ぶち刺さると思う。笑
まあ、それはいいか。笑
とにかく、春一番Ⅱという歌をいっぺん聴いてみてほしいですね。
いつでもいいんで。
(動画はこれね↓)
https://www.youtube.com/watch?v=F0l5UanldmM
今日は寿司を届けながら、なんかそんなこと考えてた。