東京

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(2014年元旦、スカイツリーと俺)

先週、自宅のぶっ壊れていたエアコンがついに新しいものに交換された。さようなら霧ヶ峰。よろしくな、白くまくん。とても涼しくて、快適だよ。ありがとう。俺は今、白くまくんからの愛を感じつつ、親友から引っ越し祝いで貰ったサッポロ黒ラベルをちびちび飲みながらこの文章を打ち込んでいる。許してほしい。多少酔っ払っている。

 

今日は家に帰ったら東京についての想いを書こうと決めていた。夕方ごろインスタグラムを開いたとき、長澤まさみさんが"東京"と付くいろんな人たちの曲をストーリーに上げていたからである。

 

そもそも、俺は山口県の生まれで11年前くらいに山梨に来たわけだが、初めて飛行機に乗って、羽田に着いて、電車に乗って、新宿に着くまでに目の前を流れていったあの景色を、俺は一生忘れることはないだろう。日が照りつけていて、辺り一面がシャキッと真っ白で、ビルの窓が反射してキラキラしていたあの景色を。俺は東京に来たんだと、その時やっとわかった。

ついでに、そのあと新宿からの高速バスの車窓から見た、どんどん景色に緑色が増えていくあの感じも忘れやしないだろう。あんときは不安だったなー。笑

 

20歳かな。大学生活にもすっかり慣れたころ、俺はくるりに夢中だった。東京という曲を初めて聞いたとき、瞬時に、あの景色が思い浮かんだ。すごく衝撃的なことだった。全く別の人生を歩んできた別の誰かも、自分と同じ景色を見たんだ、と。そう思うとワクワクした。だし、それを言葉とメロディで具現化できるのがすごすぎると思った。

当時お付き合いしていた人が所沢市小手指というところに住んでいたので、俺は1ヶ月に一回くらいのペースで遊びに行っていた。BGMはもちろん、くるりの東京だ。俺は浸っていた。

今思えば、あれはかけがえのない時間だったんだ。

 

時は経ち、今では俺はバンドを組んでいろんな歌を作っている。でもずっと東京についての歌詞は書けなかった。というか、書こうと思ってなかった。

東京 は強すぎる。俺にとって東京は、くるりであり、銀杏BOYZであり、THE ラブ人間であり、きのこ帝国であり、やしきたかじんであるのだ。これ以上この世に東京という歌は必要ないと、俺は思ってしまっていた。

しかし何年か前、そんな俺のカチコチの固定概念をぶち壊してくれたバンドがいる。SEMENTOSである。ぴったりな言葉が思い浮かばないのが心苦しいが、本当に衝撃が走った。SEMENTOSの東京は他の誰でもない、完全にSEMENTOSだけの東京だった。

そのとき気づいた。自分の言葉で書けばそれでいいんだということに。SEMENTOSは教えてくれた。俺の街にもカモメが飛んでいたことを思い出させてくれた。

 

そして最近になってもう一つ、涙してしまった東京がある。Dear Chambersの東京である。出会うのがあと10年早かったら、俺は彼女に会いにバスに乗るとき、Dear Chambersを聞いていただろう。

ボーカル森山もまた、別の人生を歩んできた俺なのだ。

またひとつわかったことがあるが、時代はこうやって繰り返されていて、若者は東京という街に夢を抱き、訪れ、歌を書くのだ。そして、たぶんこれは100年くらい、いや、下手したらもっと前から続いているのだ。

東京は不思議な街だ。ゲームの中や映画の世界のような街だ。良い感じに闇が見えないように隠されている街だ。

こうしてる間にも、また1人、誰かにとっての特別な街になってんだろうな。

 

 

東京。頑張って書いてみようかな。

いや、やっぱやめようかな。